黒紅花

「お母さん、私だってわかって
　る、チトセには、ほんと悪い
　と思ってるのよ

　だけど、この場所であの人と
　言い合ったことではっきりし
　たの
　
　アサハとはもう暮らしては
　いけないってことが・・・」

「だからって、チトセの気持ち
　はどうなるんだい？」

「おばあちゃん、もういいよ
　私がその場にいてもいなく
　ても、結果はこうなってた

　私は離婚に賛成も反対も
　しない
　
　だって、どうせ私には
　関係ないことだもの」

蚊帳の外の私が何を言ったと
しても答えは変わらない。

「チトセ、貴女のこと、決して
　関係ないだなんて思って
　ないわ

　ただ、貴女だって気づいて
　いたでしょう？
　
　あの人とママの間に愛はなく
　冷めきってしまっていたこと
　を

　あの家で、もう一度最初から
　家族でやり直すなんてことは
　二度とありえない

　新しい場所でママと最初から
　やり直しましょう？」

「最初から、やり直す？」