黒紅花
祖母と暮らす家----
開け放たれた窓から室内へヒュ~ッと吹き抜ける風は、湯上りの体にはちょうど良くて気持ちいい。
洗ったばかりの髪をタオルで拭く私に聞こえる声。
「チトセ、なんだか少し肌寒いね
窓、閉めてちょうだい」
「はい
……うん?」
閉めかけた窓から聞こえる風音と共に、誰かの声が聞こえた気がした。
『……泣かないで』
「チトセ
おばあちゃん、先に寝るわ
アナタもバイトでお疲れだろうから
早めにおやすみなさいねえ」
「うん、そうする
おやすみなさい」
何故だろう……
今夜は胸騒ぎがして眠れそうにない。