黒紅花
静まれ
静まって鼓動よ。
案ずることなんて、何もないから。
私は疲れた体を布団に横たわらせた。
見上げた天井、白い壁、そのスクリーンに思い描かれるのは、ひさぎの姿。
二度と会えない思い出の中の貴方に、私は毎夜言うの。
「ひさぎ、おやすみなさい」
いつも忘れずに……
その夜はやっぱり寝つきが悪くて、瞳を閉じては開けてを何度と繰り返した結果
朝が来るのが何だがとっても待ち遠しい。
空が明るくなり出した頃、私はやっと少し眠りについた。