黒紅花
「ねえ
 お金、勿体無いよ」

私は、ひさぎの制服を
引っ張る。

「大丈夫だって
 この間、バイト代
 出たところだから・・・
 
 クソッ、あと少し
 次こそ、取れる」

ひさぎは、UFOキャッチャー
のガラスケース越しに
私を見つめて微笑む。

「任せとけって
 お前のその腕に
 アイツ、抱かせてやる」

真剣な、ひさぎの眼差し。

アームから、すべり落ちた
大きなぬいぐるみは
一度、バウンドしたかと思うと
頭から穴へと落ちて行った。

「よっしゃ、やりぃ」
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