黒紅花
「すご~い
 ひさぎ、すごいねぇ」

「ほらっ、チトセ」

貴方が、私へと
差し出したぬいぐるみを
私は、この腕に抱きしめた。

「ひさぎ、ありがとう
 大切にするね」

「ああ」

誰かにプレゼントを貰う事
なんて・・・

もう、ずっと無かった。

ううん、誕生日でさえ親から
心のこもったプレゼントを
貰った事無い。

『お父さんも、お母さんも
 仕事で忙しいんだ
 
 これで、お前の
 好きなものを買いなさい』

そう言って、この手に
渡される多過ぎるお金。

お金なんて要らないよ・・・
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