堕天使の銃声
第一章
「今日は転校生が来てるから紹介するぞー」
廊下で待機している、転校生である私自身も届いてくる、とてつもなく気力のなさそうな声。
そりゃあ、あれだけやる気のない眼をしていれば、当然だ。
そんなことを考えながら、教室の扉が開くのを待っていると、開くよりも先に、
「じゃあ入っていいぞー」
という声が聞こえてきた。
(…自分で開けろってことか。)
少しイラッとしながらも、教室の扉を開いて入っていく。
「鳥居 朱鳥です。朱色の朱に、鳥と書いてあすかって読みます。
珍しい名前なので、パパッと覚えちゃってくださいね!」
普段浮かべることのない、精一杯の笑顔を浮かべて、自己紹介をする私。
名前はもちろん偽名。
性格も、普段は冷たい性格だ(といわれる)けど、今はとても明るい、スポーツ大好きな女の子って設定にして、それなりに振舞っているつもりだ。
「というわけで、今日から仲間入りした鳥居だ。
仲良くしてやるよーに!」
「龍ちゃん、朱鳥は私の横の席にたった今決定した!
さ、朱鳥、おいで!!」
担任がそう言い終えた瞬間、少し遠くの席から、声が響いてきた。
だが、担任はそれを難なく対処していく。
「あー、めんどくさいからそれでいいや。
朱鳥、あいつの隣の席、座れ。」
そう言われ、特に反抗することもなく、そこの席に座る。
「よろしくね!」
「うん、よろしく!
私、平岡 麻衣っていうの!
麻衣って呼んで!!」
そういって私の右手を突然握って、無理矢理握手する彼女、麻衣。
(腕、痛いんだけど…)
腕をぶんぶんと振り回す彼女を見て、すぐにその言葉が出てくる。
でも、そこはぐっとこらえ、笑顔で対応する。
「いでで… 麻衣、馬鹿力!!」