堕天使の銃声
“人離れ”
人道を外れることだと、私は思う。
でも実際、人ならざるもののことを言う人のほうが、多いんじゃないだろうか?
妖怪とか、怪物とか、私とか。
(やばい… そんなこと考えてたら………)
鋭く生えてる八重歯が、うずきだす。
私の中の“アイツ”が、騒ぎ立てる。
『血だ!!』
(うるさい… 今は任務中だっつーの!!)
必死に抑え込んでいると、頭が痛くなってきた。
「どうしたの、朱鳥ちゃん?」
「ん… 頭が痛くなってきちゃって…」
素直に答えるが、痛みは止まらない。
(もう、嫌!)
うずきと痛みに耐えられず、私はおもむろに教室を飛び出した。
「ちょっと、朱鳥ちゃん!?」
「ごめん、トイレ!!!」
驚きの声を上げる妙子に、そう一言だけ返答し、私は走り続ける。
「人… 人がいないところ…」
うわ言のようにそう呟きながら走り続け、たどり着いたのは、
(ガチャッ)
屋上、とかいうところだった。