DEAREST...
幸せな時間
佑くんはあたしの震えが治まるまで
ずっと黙って抱きしめてくれていた。


そしてあたしが
「ごめんね……
あたし大丈夫だから……
ありがとう……」と言うと


「大丈夫じゃないよ!
理都ちゃん立てる?
バイクの後ろ乗れる…?」と、
あたしをバイクの後ろ座席にゆっくり乗せ、
ヘルメットを付け、

「ちゃんと俺につかまってるんだよ?」と
佑くんは静かにバイクを走らせた。

しばらくして着いたのは1人暮らししている佑くんの家。


「汚いけど……」と照れくさそうに言う佑くんが可愛かった。

温かさに触れ、安心したあたしは思わず笑ってしまった。


「良かった……。理都ちゃん笑ってくれた」


佑くんはそう言った。


「でも無理して笑うことないからね。
泣きたい時は思いっきり泣いていいんだよ?」


あたしは嬉しかった。


どんなに辛くても笑い続けてきたあたしに
佑くんの言葉で何だか救われた気がした。


「佑くんごめんね…。
あたしあんな酷い言い方して顔もろくに合わさなくなって…」


「そんな事いいんだよ。
今ここに理都ちゃんがいて
そう言ってくれて俺は嬉しいから」
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