DEAREST...
両親
あたしの家は
明るく幸せそうに見えるけれど
実際は暗闇の中に建っているような不思議な家。

あたしの両親は
「これが欲しい!」と言えば何でも買ってくれ、

小さい時はいろんな所へ連れて行ってくれた。

それが幸せなのだと思っていたけれど、
あたしは目に見える形のあるモノなんて
本当はいらなかった。


そんなあたしと
5つ上の兄が大きくなるにつれて
父と母はほとんど話さなくなった。


喧嘩すればお互い話さなくなる2人は
話し合いなんてしないから、お互いの本当の気持ちなんて知らない。


だからあたしは自分の気持ちを言わないのが当たり前だと思ってた。


どんなに辛いことがあっても
あたしは父と母に相談なんて出来なかった。


2人が話さなくなると
喧嘩してるんだ…とすぐにわかるから、

父とだけ話せば母が嫌な思いをする、
母とだけ話せば父が嫌な思いをする、

そう思ってあたしは
父と母に平等に会話をするように
小さい頃から気を遣うようになっていた。


あたしは
いつか結婚したら
絶対にこんな夫婦にはなりたくないって思う。

もしかしたらどこかで通じ合ってるのかも知れないけど
娘のあたしから見て
理想の夫婦でなない。
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