魅惑★ladyの作り方
「…何の、匂いでしょうか。」
「ひぇっ…」
今までずっと俯いていた馨が、顔を上げて小さく呟いた。
女がいきなりの事に間抜けな声を上げると、馨は心から楽しそうに、可愛らしく、破顔した。
女達がこの場にそぐわず胸を高鳴らせるのと同時に、頭の中の何かが警報を鳴らした。
今すぐ、その場から離れろ、危険だ―…、と。
「あ゙ぁあっ!?」
一人の女が鼻を抑えて発狂するのを驚いて見ていたもう二人の女も、すぐに同じように鼻を抑えた。
「な、な、何…ッ!?」
「ヒッ…!
ち、血がぁ…!!!」
鼻を抑えていた手を見ると、そこにべっとりと着いた鮮明な血…
「さぁ、どうする?
君達は俺達を怒らせたんだ…」
三人が恐ろしい空気を纏う中、帝がいつも通りの美しい笑顔で三人に近付く。
だが今の三人にはそんな帝の笑顔も恐ろしい対象でしかなく…
狂ったように涙を流し、身体を震わせ、首を振りながらずるずると後退る。
「い、いや…
もう、助けてぇぇ…!!!」