魅惑★ladyの作り方



「…翔はさ、前に本気になった子の事まだ引き摺ってんのかなー?」


海が独り言のように誰に言う訳でもなく呟くと、帝が眉を潜めた。


「翔は…純だからな。
前、女物のハンカチ持ってた時は真剣に驚いた。
たまに眺めてるみたいだけど…」

「あ、俺もー。
新しい恋か!?っていう驚きとハンカチを恋しそうに見つめてた乙女な翔に!」


その時の事を思い出したのか、プッと笑いだした海に慧が肩を竦める。
それと同時に慧の腕の中の華楠がピクリと動いた。



「…華楠?」

『んっ…』

「えっ、結城ちゃん!?」


華楠が小さく声を洩らすと海が飛び付いた。


「結城ちゃん、結城ちゃん…
海だけど、わかる?」

『風間、先輩…?』


華楠が喋ると、口から一筋、首筋に血が伝った。



「結城さん、血が…」

『…どうして、』


血が流れるのを見て皆が顔を顰めた。
直ぐに帝がハンカチを取り出したが、華楠はそれを受け取らずに立ち上がろうと手をつき足を立てた…が


『あっ…!』


 
 
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