魅惑★ladyの作り方
海の問いに短く答えた翔。
馨はふと翔の前にしゃがみ、そのハンカチに鼻を近付けてクンクンと匂いを嗅ぐ。
「、なんだよ…。」
翔は少したじろぐが、ハンカチは馨の鼻から離さない。
「…これ…」
(血の匂いと洗剤の荒い匂いに消されてるけど…
この、匂いは違う…
あの子の…?
じゃあ、同じ人…?)
じっと考え込む馨。
慧は直ぐに口を開いた。
「…匂うのか?」
「ん…少し…ね。
でも、何でもない…」
もし同じ人物なら、ライバルを増やすわけにはいかない。
馨はまたソファーに座り直した。
翔も疑問に思いながらもハンカチを綺麗に畳み、ポケットに閉まった。
「…あ、忘れてたけど君達にお知らせだ。
この学園の生徒でこの学園の事だけは僕の秘書みたいな事してくれてる子がいるんだ。
一応紹介しておくよ。
そろそろ来るはずだけど…
スッゴく可愛いぞ!
もう、お嫁さんにほしいぐらい。」
うんうん、と一人腕を組む理事長。
四人は思う。
そんなに可愛いならその子が魅惑☆ladyで良いじゃないか…と。
だが、その思いはこの後、見事に打ち砕かれる。
――コンコン
『失礼します。』