魅惑★ladyの作り方


『す、すみません…
ご好意は大変有り難いのですが、人と関わるのは得意ではなくて…』

「…いえ、気にする必要はありませんよ。
大体は医院長から聞いていますから。
…慣れるためにも、我慢して下さいね?」


研修医は妖しく笑うと、優しく…だが強引に華楠を抱き上げた。


『いっ…!』

「暴れずに、力を抜いて…
じゃないと傷に響きますからね?」

『い、や…っ!』

「怖くない、怖くないですよ」


どんなに優しい言葉も、親しくもない男とこんなにも近付いているという事で頭が混乱している華楠には効かなかった。
階段を登りきり、屋上の扉を開くと心地いい風が二人を包む。
研修医はほぅ、と息を吐き、自分の体を抱き締めたまま小刻みに震える華楠を日の当たらない陰に下ろした。



「傷、痛みますか?」


華楠が首を振ると、良かった、と華楠の前に腰を下ろした。


 
 
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