魅惑★ladyの作り方
階段を降りたが車椅子はなく、華楠が目を見開くと翔はあぁ、と気にした様子もなく歩きだす。
「看護師が直してた」
『あ…、』
目も見えていないのにどうして、と疑問を含んで翔を見上げると翔は華楠の方を見ないまま「なんとなく」と答えた。
華楠がまた驚いていると人気のない椅子にゆっくりと降ろされた。
『あ…有難うございました。
助けてくれて、運んでくれて。
…あの、どうしてあそこが?』
「…海の財布落ちてたからな。
病室覗いたら二人ともいたし、お前入院してるって聞いてたし、それで」
『!!!』
翔がサッと財布を出すと、華楠がサッと顔を青く染めた。
膝の上に置いていた財布は、勿論無かった。
『す、すいません!
人の財布を落とすなんて、なんて失礼な事…!』
「俺に謝っても意味ねぇだろ。
…別に、無事なんだから良いんじゃねぇの?」