魅惑★ladyの作り方
華楠は理事長室を出た後、静かな廊下を歩いていた。
――ドンッ
『キャッ!』
「っ!」
と、角を曲がったところで人にぶつかりよろけた…が、相手が咄嗟に手を回したおかけで倒れなかった。
その代わり、相手に抱き締められるような形になってしまった。
「あっぶ…ないなぁ。
大丈夫かい?」
助けた相手は、帝。
外で頭を冷やし、戻る途中だったようだ。
『あ…はい、申し訳ありません。
助かりました、有難うございました。』
華楠は直ぐに離れた。
「いや、怪我はない?」
『はい、おかげさまで。
有難うございました。
ではこれで。』
華楠は軽く頭を下げ、その場を離れた。
「…俺が抱き締めたのに反応しないとは、変な女だな。
その前に見た目もどうかと思うが。」
帝は独り言のように小さく呟き、理事長室へ向かった。