魅惑★ladyの作り方
『ひっ…!?』
「反省、してるよ。
少し落ち込んでるんだ、慰めて」
帝は華楠の背中に手を回して引き寄せ、胸に顔をうめた。
華楠が慌てて引き離そうと肩に手を置くと、少し震えていて…
『成澤、先輩…?』
「怖かった…
また大事に思ってる奴が居なくなると思うと、俺は…」
次第に抱き締められる力が強くなり、華楠は眉を顰めた。
誰かと、重ねてる…?
『先輩…
私は結城 華楠です。
前に誰が、どんな目にあったのかはわかりませんが、同じだと思わないで下さい。
お互いに失礼です』
華楠がそういうと帝は肩を強張らせ、直ぐに華楠を離した。
「わ、悪い、つい…」
『………そんな泣きそうな顔、しないで下さい』
「っ!」
華楠は帝の顔を見てため息を吐くと、その首に手を回して自ら抱き付いた。
『今だけ、ですから…』
甘えて下さい、といったその声は震えていて、身体に力が入っていて。
帝は無理しているんだとわかりつつ、その小さな身体を縋り付くように抱き締めた。
「姫…!」