魅惑★ladyの作り方
「…悪かった」
『…いえ、送ってくれて有難うございました、運転手さんも』
「い、いえとんでもございません」
『ではこれで』
華楠は学園の近くで降ろしてもらい、痛む場所を庇いながらゆっくりと歩いていった。
「…坊っちゃん、直ぐに謝るべきです」
「…五月蝿い」
「坊っちゃん!」
運転手、基片桐が珍しく声を荒げると、帝はくしゃっと頭を抱えた。
「…五月蝿い、重ねてるつもりなんかなかったんだ。」
「…無意識は一番よくありませんよ。
結城様、傷付いておられたように見えました」
片桐は華楠が置いていってしまった鞄を見て苦笑した。
帝もそれを見て罰の悪そうな顔をし…
「…チッ、いつまでも子供扱いするな。
…行ってくる」
「はい、いってらっしゃいませ帝坊っちゃん」
帝は二人分の鞄を持ち、急いで車を出ていった。
「…お互いに素直じゃありませんね。
結城様が振り向いてくだされば一番なのですが」