魅惑★ladyの作り方


「すまない、大丈夫か?」

『すみません…
ありがとうございました、大丈夫です』


地面に手を付き、相手の身体を押しながら小さく頭を下げる。
ゆっくりと降ろされたため身体の痛みはなかったが、見知らぬ男性ということで失礼とはわかりつつも顔を見ずに俯いてしまう華楠。
ぶつかった相手の男性はそんな華楠の横にしゃがみ…



「もしかして、華楠か?」

『え?』


華楠が顔を上げるとすぐ近くに怖面な男の顔。
眼鏡越しでもわかるその顔つきについ、ひっ、と声をもらした。



「あぁ、悪い。
覚えていないか?
小学生の時によく遊んだ、お前は確かしんちゃん、って呼んでたか」

『しん、ちゃん、って…』


華楠が思考を巡らせる。
しんちゃんと呼んでいた男の子に覚えはある、だがこんなに大きくて、怖い顔では絶対になかったのだが…


「中学が離れても少しの間は会っていたんだが…覚えていない、か?
いーちゃん、るいちゃん、はるちゃん、みーちゃん、とか」


この言葉が決め手となった。


『おっ覚えてます、他の四人も!
でもしんちゃんは、私より小さくて…』

「男は成長が遅いんだ、今がちょうど成長期。
それより覚えてくれていて良かった…
久しぶりだな、華楠。
随分と風貌が変わったように思うが…」

『あ…
し、しんちゃんこそ、よく気付きましたね』


ふ、と顔を逸らした華楠にしんちゃん、はそれ以上聞くことはせず、手を差し出した。


「…まぁ、な。
立てるか?」

『あ、大丈夫です…っ、』


身体を捻った為か腹が痛み、顔をしかめる。
そんな華楠にしんちゃんは眉を潜めた。
その時…



「っ!
華楠!」

 
 

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