魅惑★ladyの作り方


「とりあえず由香から聞いた話しでは怖がり、極度の緊張、泣き虫がずば抜けたような性格だということだが…」

「怖がりだよなー、ビクビクしてるし常に眉毛がハの字だし!」

「緊張っていうのはどうなのぉ?
目立つ事とかしたくない感じみたいだよね〜」

「上の二つが高ぶったら涙が出てくる、ってとこだなぁ」

「ふむ…」


五人が首を捻る中、華楠は申し訳なさそうに五人の中で視線を泳がせている。
一番に口を開いたのはやはり伊織だった。


「余裕もそうですが、やはりまずは自信をつけることでしょう。
昔のトラウマから考えて、目立つことによって好奇の目に晒される事に恐怖心があるような気がします。
周りの目というのはやはり気になるものですが、それが全て嫌悪の目ではないということをしっかり理解しないと始まりませんね」


ふむふむ、と一人呟きながら考えを纏める伊織。
四人もその意見に賛成のようで個々に頷いている。


「では華楠、まずは完全に私達に慣れること。
由香に対しても眼鏡がないときは今のような感じだと聞いているので、眼鏡をしないで人と関わる事にも慣れましょうね。
外に出るのはそれからです」

『はっ、はいっ!
よろしくお願いします先生!』

「先生って…」

「確かに伊織は先生っぽいな!
昔から茶道で母親の口調ばっか聞いてるから、完全にインプットされて普段はこれなんだよー」

「怒られたら許してお母さん〜って言いたくなっちゃうしねぇ」


ぷぷ、と笑う湊斗と悠希の頭をどこから出したのか扇子で叩く伊織。
華楠はそんな三人を見て笑みを浮かべ、真一と琉依は笑顔で頷き合った。
 
 
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