魅惑★ladyの作り方
入ってきたのは、帝。
理事長は拍子抜けしたのか、はぁ〜っとだらしなくソファーに背を預けた。
「帝君か。
気を張って損した。」
帝君。
それは息子に対する呼び名ではない。
が、学園内では他人の振りをしようと帝から申し出、話し合った結果であった。
…取り乱した時は、なしである。
「あぁ、この前の…」
『え、あ、どうも。』
いきなり話を振られた華楠は軽く頭を下げ、思う。
困った…!
この人誰だろう!
特徴のある顔の形じゃないし、声も聞いた事ない…かな?
整ってるようにも見えるけど…
「なんだ、知り合いかい?」
少し嬉しそうに聞いた理事長。
帝ははい、と頷いた。
「知り合いって程でもないんですけどね。
この間廊下でぶつかりまして。」
『っ、あ、あの時は助かりました。』
その言葉で誰だか認識した華楠はすぐにまた頭を下げた。
帝もそれに対して表の性格でいやいや、と手を振る。
理事長はそんな二人をじーっと見つめていた。