魅惑★ladyの作り方
「…紹介するよ、華楠ちゃん。
こちらは成澤 帝くん、三年生。
この間紹介した男の子達の友達なんだ。」
理事長の紹介に初めまして、と綺麗に頭を下げる帝。
華楠は名字を考え、理事長に聞いていた息子の年齢を思い出し…二人を親子だと判断した。
『…そうでしたか。
初めまして、結城 華楠、二年です。
理事長にはお世話になってます。』
華楠も立ち上がり、帝に頭を下げる。
帝も華楠が親子と気付いたことに気付き、こちらこそ、と笑顔で答えた。
「そうだ、帝くん。
車を出すから華楠ちゃんを家まで送ってあげてくれないかい?
私は仕事があるんだが、あの車は一人で乗るには大きいからね。」
机に肘を突き、軽く苦笑する理事長に、帝は内心舌打ちをしながらも笑顔で喜んで、と答えた。
が、華楠が黙っていなかった。
『結構です、理事長。
歩いて帰りますし、車でも一人で大丈夫です。』
男の人と関わりたくない!
車で二人きりなんで持っての他だよ…!
華楠の思いも虚しく、理事長は笑顔で手を振った。
帝は華楠の鞄を持ち、華楠に声をかけると頭を下げて理事長室を出る。
『…叔父様の馬鹿っ!』
華楠は眼鏡から潤んだ瞳を見せ、帝に聞こえないように小さく悪態を吐き理事長室を後にした。
「…私のお嫁さんになってほしい。」