魅惑★ladyの作り方
「え、どうして?」
『口調が。』
視力を使わないようにしているため、無駄に耳が良くなった華楠。
帝は諦めたのか、深く溜め息を吐いて軽く目にかかる前髪をザッと手であげた。
「めんど…。」
『っ!』
突然低くなった声。
華楠はビクッと身構えた。
「あ〜、別に脅えんなよ。
何もしねぇし…?」
ニッと口角をあげた帝。
それが見えたのか否か、華楠はゾクッと身震いした。
『…二重人格って事ですか?』
「別に、あれも本当の性格なんだけどさぁ。
使い分け?」
『…そうですか。』
自分も人の事を言えないため、あまり深く突っ込まない華楠。
帝は物分かりの良い奴、と軽く笑い、足を組んだ。
帝が長い足を組んでも車は全く窮屈にならないため、高級で広いという事がよくわかった。
華楠は凍った背筋を少し溶かし、小さく溜め息を吐いた。