魅惑★ladyの作り方
「?
ここまで来たんだ、家まで送る。」
『いえ、結構です。
運転手さん、止めていただけますか。』
華楠が話し掛けると、運転手ははい、と返事をして公園の近くに車を停めた。
『わざわざ、有難うございました。
運転手さん。』
「あっ、いえいえ。
いつでもお使い下さい。」
「俺にはないのか、こら。」
車を降りて、前の運転手に挨拶をする華楠に帝が口元を引きつらせる。
華楠は頼んでません。と言って頭を下げ、車に背を向けて歩いていった。
「…変な女だな。」
「振られましたね、坊っちゃん。」
「坊っちゃん言うな馬鹿執事。」
運転手、基、帝専属執事の片桐はクスクスと笑う。
「申し訳ありません。
ですがあのような女性は珍しい。
捕まえていた方が良いのでは?」
「ハッ、馬鹿言うな。
あんな女、興味ない…。」
未だ華楠の去った方に目を向ける帝に、片桐は小さく呟いた。
「素直じゃない御方だ…。」