魅惑★ladyの作り方
[いつも、馨と昼飯を食ってるのか?]
『あ、はい。
少し前から。』
慧はその答えに興味深そうにへぇ、と頷いた。
馨が女と関わりを持つなんて珍しい。
しかも、そいつ用に試作品デザートを一つ多く用意しろと頼んできたのだから。
しかも、この女は少し興味のある声だ。
…駅で聞いたあの声と、似たものがある。
[甘いものが好きなのか?]
『はい、凄く。
でも昔失敗してから作った事なくて、憧れます。』
[そうか。
なら、また作る時にでも呼ぶ。]
『わっ、本当ですか!?
待ってます。』
紙と言葉で上手く会話をする二人。
とんとん拍子に話は進み、二人はメールアドレスも交換した。
『あ、瓶洗いますね。
何もお礼が出来ないので。』
[助かる。]
華楠は立ち上がり、瓶を洗い出す。
慧はその様子を隣でじっと見ていた。
心地よい沈黙が二人を包む。
慧は水の音を聞きながら、浅い眠りに着いてしまった…。