魅惑★ladyの作り方
「ん…」
『っ!?』
慧の声が聞こえたかと思うと、華楠は椅子に巻き付けていた足に力が入らなくなり、倒れはしなかったがガタンと椅子を揺らした。
『い、今の北川先輩…?』
…気のせい、かな?
にしても、今の力の感じはなんだろう。
の、呪いとかじゃない、よね?
華楠はハッとしたように首を振り、自分の考えを追い払う。
怪談話等は大の苦手なのだ。
『…そろそろ暗くなるかな…。』
華楠は日が落ちてきて部活動が解散し始めたのを見て、呟いた。
そして立ち上がり、慧の肩を揺さ振る。
『北川先輩、北川先輩。
起きて下さい?
もう暗くなっちゃいますよ。』
「…っ……」
華楠が声をかけるが、慧は少し身動ぎするだけで起きない。
華楠は人にキツくものを言うのが苦手なため、眼鏡の内の瞳を潤ませた。
…が、眼鏡のおかげで相手が怒っていても見えない。
華楠は小さく拳を握り、また慧を起こしにかかった。