魅惑★ladyの作り方
『北川先輩。
起きて下さい、風邪を引きます!』
先程より少し肩を強めに揺さ振り、本格的に慧を起こす。
慧はうっすらと目を開け、小さく呟いた。
「………華楠……?」
『ひゃああっ!!!』
腰を抜かした華楠はよろけ、ガッと椅子の足に足を引っ掻け、ガシャンと眼鏡を落とし、尻餅をついた。
人より耳の良い華楠には人より効果があるらしい。
『こ、腰ぬけたぁ…!』
うりゅっと瞳に涙を溜め、手だけで眼鏡を探す華楠。
すると、慧がのっそりと立ち上がった。
「その声…駅の、女……?」
『ふぁっ…!?』
慧の言葉、声に華楠は胸を震わせる。
ドクンッ、と激しく波打つのだ。
華楠は異様な動悸に驚き、震えながらも、近付いてくる慧を見つめる。
「…駅の、女か…?」
『あっ…!
わ、わかんないです…!』