魅惑★ladyの作り方
『………へ?』
視界が暗くなり、何か暖かいものに包まれた華楠はすぐにそれが何だか気付く。
『はっ、離して下さい!』
「や。」
『や、って…!』
華楠は海に抱き締められ、頭を撫でられていた。
華楠は泣きそうになった。
昔の、優しい兄を思い出して。
「淋しそうな顔してたよ…?
眼鏡の奥で、目が泣いてるんじゃないの?」
『そんな、事…!』
「なくないでしょーが。
我慢しないで、泣いても良いんだよ?」
『やだっ…!』
華楠はついに我慢できず、海の腕の中で暴れながらポロッと涙を零した。
抵抗を止め、悔しそうに声を押し殺す華楠の頭、背中を海が優しく撫でる。
未来も心配そうにそれを見ていた。
「もう、大丈夫だよ…。」
『…っ!』