魅惑★ladyの作り方
「今日は、ドーナツ…。」
『わ、美味しそう…!』
ご飯を食べ終わると馨がどこからか紙袋を持ってきて、中からドーナツを取り出した。
『はふ、美味しい…。』
「うん、美味しい…。」
二人はドーナツを噛りながらいつものように談笑をする。
今日は【衣食住】がテーマだった。
『…全て大事ですよね。』
「服がないと寒い…。
寒いのいや。」
『ですね。
食がないと死んじゃいますし。
…住は、安全でさえあればどこでもいけそうですね?』
「…寝れたら、良いや。」
『ふふ、馨さんらしいですね。』
「枕と布団、欲しい…。」
こてん、とコンクリートに横になった馨は「硬くて痛い…。」と上半身だけ起こした。
そしてドーナツの箱を片付ける華楠を見て少し眉間に皺を寄せる。
「…今日も、この後、慧?」
『はい、そうですよ。
最近は少し仲が良いかなぁと。』
少し照れ臭そうに言う華楠にムッとした馨は華楠から箱を奪い、きちんと座らせてその横に少し距離を空けて座った。
『?
馨さ…』
「あ、枕。」
『ッ!?』
馨はわざとらしくそう言うと正座していた華楠の太ももに頭を預け、目を瞑ってしまった。
華楠も馨に馴れたとはいえ、こんな行為は初めてなので固まった。
…余談だが、馨が目を覚ますまで、華楠は全く動けなかったとか。