神様は不公平
「そうだよ。彼なのに」

明花はスカートをはたきながら言った。

「大丈夫。修ってば結構Mだから喜ぶわよ。」

「またそんなこと言って。」

羽須美はもう半分呆れている。


「俺、黒坂が彼氏の話してるの初めて聞いたけど、いいな」

「?何が?」

「なんか、普段に比べて可愛いな、と思って。」

「え?」


前から思っていたけど、甘木君はわりと照れくさいことを誰にでもさらっと言う。甘木のことが好きなわけでもないのに不覚にもドキッとしてしまった。




ごめん。修。



「ね、ね、アマ、あたしは?」

なぜか飛び跳ねながら明花は聞いた。両ほっぺたに人差し指をくっつけている。

「うん。」
「え?何?うんって。」
「あ、俺そろそろ帰ろうかな。」
「え?スルーするの?質問には答えてください。お兄さん、面接で落ちるよ。」

言わなくてもわかると思うけど。
客観的に見て明花は可愛い。鼻はちょっと上を向いているけれど、肌の色は白いし、目もくりくりとしてて大きい。ちょっとぶりっこじみた行動もあるけれどなぜかそれがしっくりきてしまうのが不思議だったり。というのが私の答え。まあ、私には聞かれてないからいいんだけど。


「じゃ、また明日。」
「え、ほんとにスルーする?」
ささやかに寒いギャグになっているけどおそらく本人は気づいていないのでスルーすることにする。


「ねぇ、答え・・・・」
珍しくしつこい明花は甘木君を追いかける。甘木君は急に立ち止まった。明花は見事に衝突。
「急に止まらないでよ。もっと鼻が上向く・・・・」
「可愛いよ。」



















思わず私も羽須美も黙ってしまった。


















「人には好みがあると思うけど、俺は前島のこと可愛いと思う。」





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