神様は不公平
卒業式
不覚にも私は目が溶けるんじゃないかってくらい泣いてしまった。
羽須美もちょっと涙目だった。
明花はやっぱり最後の最後でもやらかした。
名前を呼ばれて一人一人壇上に行ったんだけど
その手順を明花は少し間違えた。
段を降りる途中で気がついた彼女は
なんと全校生徒&卒業生の保護者&お偉い来賓の方々が見ている前で
べえっと舌を出して笑った。
下級生からは「可愛い」とかいう声も上がっていたけど。
冷静に考えておかしいでしょ。
案の定、教室に戻ってから明花は親に叱られていた。
18にもなって親から叱られるってどうよ。
「まあ、可愛いことは可愛いな、マエジマメイカさん。」
うちは親が用事で来れなかったので
なぜかちゃっかり修が来た。
親ばっかりの中で若い修はしっかり浮いていた。
「顔は絢子の方が・・・ってお前すごい顔だな。」
涙でぐちゃぐちゃの私の顔を見て修は大爆笑。
お前には乙女のセンチメートル・・・間違えた。センチメンタルな気持ちがわからないのか。
そんなことを思っていると、明花が私のところに来た。
「修さん?」
私は答えられる状態じゃなかったのでうなずく。
明花はこんにちわ、と可愛らしく笑った。修も頭を下げた。
「白井修です。明花ちゃんの噂は絢子からよく聞いてます。可愛い子だって。」
明花は嬉しそうに私の肩をバンバンたたく。
痛いんですけど。
ついでに泣きすぎて鼻も痛い。
担任が帰ってくるまでにはまだまだ時間がありそうだ。
羽須美がいない。
明花が探しに行く、と言ったので、私もついていくことにした。