神様は不公平
甘木君はそんな修を軽くかわした。
すごいな、ジェントル高校生。
「前島、いい加減に黒坂を放してやったら?本当に窒息するよ。」
「だって絢子泣いてたんだもん。可哀相じゃない。代わりにアマがやってくれる?」
「別にいいけど。」
いや、よくない。
それなら、と言って明花は私から離れた。
私の意見は無視して話は進行していく。
「あ、涙止まった。」
明花は私の顔をのぞきこんでそう言った。
涙はとっくに止まってた。
くるっと後ろを向くと修が笑った。
ささやかにひきつってるけど
まだヤキモチやきおわってないのね。
そのとき
私の後方の空気が一瞬、固まった気がした。