神様は不公平
「羽須美?」
声をかけると人影は振り向く。
「久しぶり。」
羽須美は相変わらず少し冷たい笑い方をする。
でも前よりは柔らかく笑うようになった。
年の功?
「私もだけど随分早くない?」
「なんかやること無かったからつい、ね。」
「実は私もなの、すいません、モカマタリ下さい。」
そばを通った店員さんにコーヒーを注文した。
「あ、このたびはおめでとうございます。」
私が軽く頭を下げると羽須美は笑う。
「何?今更。」
「私、結婚式行けなかったから、今言っとこうと思って。」
羽須美は半年前に結婚した。残念ながら私は仕事の都合で結婚式には行けなかった。
「結婚しても何も変わってないわよ。仕事も相変わらずしているし、名字が変わったくらいで。」
「同じ同じ。結婚で私の人生あまり変わってない。っていうか私の場合、結婚一年生と社会人一年生が同時だったけど。」
「もう6年でしょう?早いわね。」
「でしょう?学生じゃなくなったら10年なんてあっという間よね。」
「本当にね。」
二人で笑う。親友ってしばらく会ってなくても会えば自然と話が盛り上がる。