神様は不公平
「ごめん、まった?」
明花は赤ちゃんをあやしながら言った。
「大丈夫、時間ぴったりだから。」
羽須美が答える。赤ちゃんはわりと直ぐに泣き止んだ。
「大きくなったね。」
羽須美が赤ちゃんを見ながら言う。
「でしょ?あ、絢子は初めましてだね。絢子と会うときは親に預けてたから。」
「うん、写メとかで見たことはあったけど。」
今さっき泣いたばかりの赤ちゃんは目が潤んでる。
可愛い
私がじっと見ていると明花が言った。
「絢子、抱っこしてみる?」
「え、いいの?」
「うん、さっきお昼寝したばっかりで機嫌も良いし、頭もしっかりすわってるから怖くないよ。もう立とうかってくらいだし、ね、優丈。」
私に言っているのか、赤ちゃんに言っているのかはわからない。明花は私の腕に赤ちゃんを抱かせてくれた。
やわらかいいいにおい
手も足もちっちゃいね
それにとっても重い
kgとかじゃない
なんて言うんだろう
命の重さ?
あ、目が合った。
「名前、なんだったっけ?やっくんとかヤスって呼べるね、って言っていたのは覚えているけど・・・。」
「『やすたけ』って言うの。優しいっていう字に丈夫の丈ていう字。ちょっと当て字だけどね。」
重くない?と明花に言われたけど、もうちょっと抱っこさせてもらっていい?と返したら笑われた。
「いいよ。良かったね、優丈、綺麗なお姉ちゃんに抱っこしてもらって。」
「もうおばちゃんじゃない?親と同じ歳だから。」
羽須美がイタイツッコミを入れた。でも確かに。
「だめだめ、まだ20代だよ、私たち。若く生きようよ。」
明花の物言いもあまり変わらない。