神様は不公平
・・・明花よ、小学生か?でもせっかくだから。
「私も黒坂じゃないで~す。甘木君。」
甘木君は頭に手をやって言った。
「慣れた呼び方って変えにくいんだよな。」
と言い訳をした。
「黒坂は白井になって・・・えっと前島は?」
「藤倉です。いいかげん覚えてよ。っていうか下の名前で呼べば変わらないのに。」
「人妻にいけないかな、と思って。」
ふざけた言い方に思わず笑ってしまった。明花なんか体を仰け反らせて笑ってる。
赤ちゃん落とすよ。
あ、よく見たら優丈君も笑ってる。
「あ、子供。」
「抱っこする?もう泣かないよ。」
羽須美が耳打ちしてくれた情報によると、羽須美と甘木君の結婚式に明花は優丈君を連れてきていて甘木君を見て大泣きしたらしい。
そりゃ、ショックよね。
甘木君が優丈君を抱っこしてる
抱っこのしかた上手いな・・・
「口のところ、まえじ・・・あーー、明花似?」
言い馴れない呼び方に少し照れている様子。
「口?うん、そう思うけど、よく気づいたね。みんな目って言うのに。」
そう言いながら、明花は背伸びをして甘木君の腕の中を覗き込んだ。
「やばい、ごめん。今私すっごい嫉妬してる。」
不意に羽須美が言った。思わず聞き返す。
「え?赤ちゃんに?明花に?」
「両方。」