神様は不公平


「私、高校生の時、アマのこと好きだったもの。一回そう思った人を親友とは思えないかな。あえて何かつけるなら『初恋の人』とか??親友の夫だから親友くらいの関係にはなるだろうけど。」

優丈君をあやしながら明花は言う。

何となく、私達は固まってしまった。

気づいてか気づかずか明花は続けた。


「どう?アマ?」

「は?」

「10年越しの想いの告白はいかがでしょう?」

「はぁ?」

甘木君の反応は正解だと思う。

誰だって急にこんな事言われたら困る。

お互い既婚者なわけだし。


「深い意味は無いんだけど、今更どうこうとも思ってないし。」

思ってたら問題です。

「ただ、せっかくだから、言っておかないとあの頃の私がちょっと可哀相かなと思って。実は貴方にはこんな勇気があったのですよ、とね。教えてあげようと思って。」

「え?自己満足の為の告白?」

甘木君が笑いながら言う。

「そう。いけない?」
そう言いながら、明花は笑った。

「でも、あの時言わなかったのは後悔してないよ。私は、今がすっごい幸せだから。あの時言ったら今の幸せはなかったかもしれないしね。」

ねー、と優丈くんの方を見る。  

寝てますけど。

「ちなみに。」

明花は甘木君を指さした。

失礼だよ。

「私、旦那が生まれて初めて付き合った人で、そのまま結婚したんだけど、告白も、プロポーズも旦那からだったのね。」

「「え?自慢?」」

あ、しまった。つい口に出た。しかも羽須美と同時に言ってしまった。

「違う違う、だから、私の生まれて初めての告白は、アマのものとなったって言いたかったの。」

だからの用途が違う気がするがとりあえず放っておこう。
< 57 / 64 >

この作品をシェア

pagetop