ACcess -操-
僕らは少し走って茂みに隠れる。
「…び、びっくりした…。」
「こっちがビックリだよ!
 何してんだよ!普通にいきなり敵に真っ直ぐにつっこむヤツがあるか!」
「…青がスカイかと思ったんだよ!」
「赤が味方!青が敵!黄色が他のPC!
 それに安易に手を出さないっ!」
「だって羊が…」
「分かった分かったっ!
 いいか、見てろよ?仕留めてやるっ!」

羊を?という質問をする前に、彼は僕を茂みから追い出した。
怒ろうとしたが、追い付いた羊が僕を標的にしたようで、鋭い歯を剥き出して威嚇した。

気付いたらBGMも戦闘用の、早いテンポでゾクゾクする曲になっていた。
「えっ?えぇっ!?」
「いいから、お前は敵を引きつける!」
羊よりもスカイが怖いのは気のせいだろうか?


引き付ける間もなく、羊が襲い掛かってきた。


本能、というものはその身がピンチな時に発動するもののようだ。

コントローラーのボタンを訳も分からず押していたら、目の前に武器が現れた。
「…!?
 ―っそ!」
その武器を手に取り、羊に向かって振り下ろした。

羊はギャンと犬が鳴くような声を上げて、また襲い掛かってきた。

コントローラーをガシガシと動かすと、画面の向こうの僕はそれに合わせて左右に動く。
そんな感じで上手く避けられたのはマグレというべきか…。
「―っの!」
ボタンを連打した時、高く振り上げた剣が赤く光った。

羊はまたギャンと鳴き、同じ様に攻撃を仕掛けてきた。

今度はマグレも通用しない。
避けきれない…やられる…!
諦めたその時、羊はギャンギャンと騒ぎ出した。

剣を構えたままの僕は、状況を理解するのに苦しんだ。
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