ACcess -操-
ずっと気になっていた。

世界に生きるという事。

どっぷり世界に浸かっているくせに、どこか俺とスカイで…という思いがあった。

それに他人と距離を置きたいと願う気持ち。

だから、生き生きした皆を見ると、どこか虚しい気持ちがあるのは知っていた。

それが…。


「貴方、キアロと似てるわ。」

予想外の言葉を言われ、ちょっとびっくりした。
「どこが?」
「フフっ。まぁ、似てるって言っても昔のキアロによ。
 出会った時は、まったく人に懐かなかったのよ。」

知らなかった。
すごくいい子なのに。
「あの子にも言ったんだけど…無理に私達に心を開かなくていいと思うわよ。
 貴方はただ、他の人より心の壁が繊細で厚いだけだから。」
ニコリ。

アリスは笑った。
そんなこと考えもしなかった。
「アリスはすごいな。」
「貴方より長く生きてるから。」
「それだけか?」
「えぇ。」
「そっか…。」
「そうよ。」


本来の自分の姿、というものが本当はよく分からなかった。

水野に見せる面や、ペッパーに見せているスカイ、他のメンバーに対する表情、知らない人への態度。

きっとその壁の向こうには、どれかがあるのだろう。

きっとそれが自分の姿なんだろう。
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