ACcess -操-
何故か一瞬、昔の記憶がフラッシュバックした。

胸が痛い。

息が苦しい。

アリスになら言ってもいいかもしれない、なんて思った。


少し考えていたら、声をかけられた。
「どうしたの?大丈夫?」
そんな言葉にすら、すぐに返事出来なかった。
「今日はもう落ちた方がいいんじゃない?」
「…いや、いいんだ。」

穏やかな時間を自分から切りたくなかった。
久しぶりに他人とゆっくり会話出来たから。
「あの、さ。
 他人(ヒト)と会話するのが恐い、って感じた事あるか?」
「…えぇ。何度も。」
「なんかさ、いろいろあったんだよ…それで、恐いんだ。知らない人や仲良くして来ようとする人間が。
 それで、苦しいんだ。よく、分かんないけど…。」
「距離を、置きたくなるのね。」
「…あぁ。
 おかしいよな、なのにこうしてネトゲしてるし、フライやペッパーと一緒にいる。アリスとだって…。本当は恐いのに。」

心の中の思いを言葉にするのは難しかった。
何と言えばいいとか、どうしたら伝わるとか。
「それはすぐに解決出来る問題じゃないわ。
 …ねぇ、やっぱり今日はもう落ちるべきじゃない?」

今日はその提案をのむ事にした。
「ありがとう。」
「…何が?」
「話聞いてくれて、アドバイスくれたから。」
「私は話を聞いただけよ。」
「…うん、それでもありがとう。」
「どういたしまして。」

彼女は少しだけ微笑んだ。
それに答えるように微笑みを返した。
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