紅龍 ―1―
そのお手伝いさんに「ただいま」と返し、ある部屋に向かう。
私と親父専用の部屋に。
お手伝いさんが案内すると言ってくれたがここは私の家。いらないと答えた。
専用の部屋は玄関からあまり離れていないためすぐ着く。
しかしすぐには入らない。
まずはリュウになぜ来てもらったかを説明しないといけない。
私がリュウを連れて来たのにはちゃんと理由があるんだから。
「ねぇリュウ?今から私の親父と知り合いにあうから。ちょっと付いてきてくれる?」
後ろを振り返りリュウの目を見て話す。
「青虎の総長として、私たちの話を聞いて欲しい。多分そこでリュウの知りたがっている私の過去も分かるから。ね?リュウは居るだけでいいから。」
リュウは私の過去を知りたがっている。
それに、あの人も居るはずだから。
関係者専用の駐車場に止まっていた白の車を思い出す。
あの人が来ている。
だから尚更リュウが居たほうが今回の件では都合がいい。
「あぁ、分かった。」
だから私はリュウの返事を確認して専用の部屋へと進んだ。
親父とあの人のいる部屋へと―…。
少し怪我で痛む足で…