紅龍 ―1―

『…―どうした?リュウ。』


電話に出たアキトは何故かいつもより声が低くて逆にどうした?と聞きたくなった。



が、今の俺にそんな余裕なんてあってもない。


「アキト―…好きってなに?」



だから俺は単刀直入に聞いたのにアキトは



『ふへぇ!?』



間抜けな声を出した。



「だから、好きってなに?」

もう一度言った俺はきっと不機嫌オーラ全開だったと思う。


それを察してくれるアキトはやっぱりアキトで静かに話してくれた。



『リュウ。好きってのは、人それぞれ考え方が違うんだ。でも、俺の場合はなァ―…例えばその人を守りたいと思ったり、その人のそばに居たいって思う事かな。』



優しい口調で、でも説得力のあるアキトの言葉。


「好きってのは、人それぞれ考え方が違う?」


俺の質問にもまたまた同じく優しい言葉が返ってきた。


『あぁ、人それぞれだ。だから―…だからリュウに何があったなんて知らないけど、リュウはリュウの"好き"をゆっくり見つければいいと思うよ?俺は。』


「俺は俺の好きを見つければいいんだなアキト?」


『うん。』


「俺の好き―…?」


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