紅龍 ―1―
いつも笑顔で話してくれる柚さんに私もだんだんと心を開いた。
だから柚さんに私は紅花で紅龍の元総長なんだと。そしてあの事件があって今の状況なんだと話した。
初めは話すのが怖かったけど、私の事を知っても態度を変えない柚さんが私は嬉しかった。
それはきっとシュウマが、身近な人がその世界にいたからだろう。
私が隠したい過去の話をする一変、柚さんは身近な話をしてくれた。
最近できたデパートの事。友達の事。そしてシュウマの事。
シュウマの事を話す柚さんはとっても優しい顔をしていた。
それほど柚さんはシュウマの事を大切に思っていたんだと思う。
シューは格好いいからモテるんだ。とか、シューは女嫌いなんだけど私は大丈夫なんだよ。とか、沢山シュウマの事話してくれた。
「それほど柚さんはシュウマをしたってたんだよ。」
さっきから俯いて静かに私の話を聞いてくれていたシュウマに声を掛ける。
もちろんシュウマからの返事はない。
だから私は話を続ける。
「けど、ある日を境に柚さんは家に来なくなった。」
そう、ある日を境に―…。