紅龍 ―1―


「すまねェ。」



蛇に睨まれる蛙のように硬直した奴が言葉を発したのは以外にも謝罪だった。


「俺さ―…寝起き悪いんだよねェ。」


頭を掻く姿は男には見えなくて、なんて言うか―…母性本能?をくすぐる感じなんだろうか?



でも、仲間を殴ったのは事実。

「こんな事していいと思ってんの?」


仲間を傷つけた奴は"総長"として許さない。


でも―…

「けじめはちゃんとやる。理由もなく殴ったのは俺だから。」


以外にも奴の肝は座っていた。



よく見ると奴は、


髪は黒のウルフ。

顔立ちは鼻だちが良く、目はパッチリ。睫毛も長く、いかにも綺麗な"女"って感じだった。実際"男"だけど。




でも、俺を真っ直ぐ見つめる瞳は奴の人柄を表しているようだった。  



それと同様。



やつの"過去"についても語っていた。






奴には何かがある―…。






そう思わせる瞳だった。






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