紅龍 ―1―


でも―…。










「でも、私が女を見つけて柚さんに電話した時にはね…」











「姉貴は―…死んでいた?」





シュウマの震えた声が響く。







そう、柚さんは待っていてくれなかった…。










「私に手紙を残してね―…。」





待っていたのは柚さんの死と手紙だけ―…。







「手紙?」







そう、柚さんの全てを書いた手紙だけ。





「柚さんは抱えていた悩みを手紙で全て私に話してくれた。そして、それを…手紙をシュウマに私は見せる。」





その全てをシュウマに見せるよ。





「シュウマ…柚さんの全てを見てあげて?」









だからシュウマ―…柚さんの全てを知ってあげて?



柚さんの気持ちを受け止めてあげて?





私はずっと身から外さなかった手紙を鞄からだしてシュウマに差し出した。



「―――…うん。」




それを受け取ったシュウマ静かに手紙を読み始めた。




部屋に響くのは紙がこすれる音と泣き声だけ―…。







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