紅龍 ―1―


















「あ…姉貴ぃ―…。」






シュウマは肩を震わせながら子供のように声を上げて泣いた。



そんなシュウマを―…



「シュウマ―…柚さんはシュウマを裏切ってなんかいなかったんだよ―…。柚さんは最初から最後までシュウマの事思ってた。シュウマ…柚さんを救えなくてごめんね―…?」







私はゆっくりと包み、頭をなでた。



柚さんの代わりに。








ねぇ?柚さん?







シュウマはちゃんと分かってくれたよ。







柚さんの少しズレた優しさと愛はちゃんと伝わったから―…。









私はシュウマを抱く腕に力を込めて泣いた。







柚さん―…






もし、私が柚さんを救えたなら…






みんな悲しまずにすんだのかな?






…………。




答えが返ってこない事ぐらい分かる。





「私はね、柚さんに沢山救われたんだよ―…。ありがとう。」






でも、伝わっていると思うから…





「ありがとう。」






私は柚さんに気持ちを伝えるよ。




< 186 / 339 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop