紅龍 ―1―
-コンコンッ-
あれから皆からの目線を耐えて理事長室に到着した。
不良高校の理事長ってなんかヤクザてきな人でゴツイのかなーなんて期待をだいて礼儀としてちゃんとノックをして理事長に―…
はいった――…?
…何この状況?
「ふぇ?」
あまりにも予想できない状態に間抜けな声を出してしまった。
俺は今誰かの腕の中に居る。
恥ずかしいんだけど///
………今この状況でこんな事思う俺は馬鹿なんだろうか?
男の腕の中、何もできない俺に男の声が降りそそぐ。
「蘭―…」
………男の発した声。
たしかに聞き覚えのある低く透き通った綺麗な声。
「蘭―…会いたかった。」
俺の―…私の大好きな暖かい声が確かに聞こえる。
「あ……兄貴?」
兄貴―…
黒瀬 涼 クロセ リョウ
私のただ一人の兄妹。
私の親っている兄貴。
紅龍の元総長で、
私を紅龍の総長にした男。
「何で兄ちゃんがここに?」
そうだ。親には連絡つかないって聞いてた…
何で奥羽高校のしかも理事長室に?
緩まった腕をすり抜け、懐かしい兄ちゃんの顔を見上げた。
「あー、俺が理事長だから。」
言いにくそうに頭を掻く兄ちゃんは素直に格好いいと思う。
でも―…
「はっ?」
理事長!?
り.じ.ち.ょ.う.ですかァ?
あの頭の悪い私の兄ちゃんが?
その整った顔で冗談は辞めてほしい。
私は近くにあったソファーになぜかダイブした。