紅龍 ―1―


-コンコンッ-


あれから皆からの目線を耐えて理事長室に到着した。



不良高校の理事長ってなんかヤクザてきな人でゴツイのかなーなんて期待をだいて礼儀としてちゃんとノックをして理事長に―…


はいった――…?


…何この状況?



「ふぇ?」


あまりにも予想できない状態に間抜けな声を出してしまった。


俺は今誰かの腕の中に居る。



恥ずかしいんだけど///


………今この状況でこんな事思う俺は馬鹿なんだろうか?



男の腕の中、何もできない俺に男の声が降りそそぐ。

「蘭―…」



………男の発した声。

たしかに聞き覚えのある低く透き通った綺麗な声。



「蘭―…会いたかった。」



俺の―…私の大好きな暖かい声が確かに聞こえる。




「あ……兄貴?」




兄貴―…



黒瀬 涼 クロセ リョウ


私のただ一人の兄妹。


私の親っている兄貴。



紅龍の元総長で、
私を紅龍の総長にした男。


「何で兄ちゃんがここに?」


そうだ。親には連絡つかないって聞いてた…

何で奥羽高校のしかも理事長室に?



緩まった腕をすり抜け、懐かしい兄ちゃんの顔を見上げた。


「あー、俺が理事長だから。」


言いにくそうに頭を掻く兄ちゃんは素直に格好いいと思う。


でも―…


「はっ?」



理事長!?



り.じ.ち.ょ.う.ですかァ?




あの頭の悪い私の兄ちゃんが?





その整った顔で冗談は辞めてほしい。







私は近くにあったソファーになぜかダイブした。




< 3 / 339 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop