紅龍 ―1―
*
1年前の春―…事件は起こった。
中3になる前の春休み。
桜の咲く季節。
私は、私を"紅龍総長"として知らない者がいないほど有名になっていた。
しかし、実際"私"を見た人は少ない。
紅龍副総長。
沙室 隼人 シムロ ハヤト
紅龍最強の男。
隼人にかなう奴なんていなかった。
だから敵は私にたどり着かない。
てか、私の出番なんてない。
というわけで私のでる喧嘩は少なかった。
そんな隼人は私の自慢の彼氏だった。
大事な人だった。