紅龍 ―1―
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…―暖かい。
あれからどれくらい泣いたんだろう。
やっと涙も乾いて、気持ちも落ち着いた。
その間兄ちゃんはずっと側に居てくれて―…
「―…っ、ありが、と兄貴。もう、大丈夫だ、から。」
枯れた声で精一杯のお礼。
兄貴ごめんね。
私の過去いつか話すから。
だから今は兄貴の優しさに甘えさせてね。
「ごめん。」
独り言のように呟いた"ごめん"にどんな気持ちが含まれているなんて分かんない。
でも―…
「誰にだってつらい過去がある。問題はそれとどう向き合うかだれ。蘭?無理だけはしちゃいけない。」
きっと兄貴は分かってるんだと思う。
兄貴の優しさに私は小さく頷いた。
"過去とどう向き合うか"
逃げてばっかじゃいけないね…
でも、私そんなに強くないよ…
ねぇ?
隼人―…