紅龍 ―1―
「……―――はっ?」
「聞こえなかった?だから、蘭ちゃんには紅龍を辞めてもらう。ねっ?」
「はっ?」
「だから―…紅龍を辞めなさい!!」
紅龍を辞める?
「私が?」
「うん。」
そんなの―…
「あり得ないでしょ?」
あり得ないよ。
紅龍は私の居場所で―…
あそこには仲間が―…!!
「でも、蘭ちゃん―…いや、蘭?俺の言う事を聞いて。」
優しい親父の瞳が鋭く変わる。
「今回、こんな事があってお父さんはもう蘭を"この世界"に居せられない。」
「私なら―…」
「大丈夫じゃないから言ってる。今の蘭のいる世界は荒れすぎた。だから、1年でいい。この世界から姿を消して。」
大丈夫。
そんな保証なんてないけど―…。
何で親父がそんな事分かんだ?
「1年の間に蘭と…隼人君を死んだ事にするから。」
…―?
今なんて言った?
私と隼人を死んだ事にする?
「はっ?」