紅龍 ―1―
「レンどうした?調子悪いか?」
俺の問いかけに首を降るだけのレン。
体は震え、拳を硬く握っている。
「じゃあ、青虎入るのがそんなに嫌なのか?」
そんな事は無いだろうと思いながらも聞く俺。
もし頷かれたらどうするなんて考えてない。
だってほら。
レンは静かに首を降る。
そして静かに顔を上げて―…
「でも、青虎には入れない。みんなは好きだけど。俺は"族"に入れないんだ。」
今にも消えそうな声で言った。
俺を見つめるレンの瞳に光がないように見えた。
「…レンはもしかして何かあるわけェ?」
「―…。」
タクマの質問に答えないレンに誰もが感じた事。
過去に何かある。
きっとあの馬鹿なユウでも分かったんだろう。
真剣な顔をしている。
ユウ以外のみんなもそう。
それでも悟られたくないんだろうな―…
「ごめん。やっぱ調子悪りぃみたいだわ。保健室行ってくる―…。」
そう言ったレンの笑顔は
"偽物"
だった。