紅龍 ―1―
蘭side
「―…っ?」
目を開けると白い天井が見えた。
そして、この鼻にくる薬品の匂い―…
あぁ、俺は保健室で寝てたんだ。
「蘭―…?起きた?」
「んっ。兄貴?」
閉まっていたカーテンがシャッと開くと兄貴が顔を伺いながら入ってきた。
心配してくれているみたいだ。
「蘭…大丈夫か?」
私の額に手をあて熱をはかる素振りをする兄貴。
てか、俺がここに居るのはただのサボりだし…。
「うん。心配させてごめん。」
だから精一杯の笑顔で大丈夫と知らせる。
でも―…。
「あのな、蘭―…お前、寝てる時泣いてた。」
「――…。」
どうやら兄貴にはきかなかったらしい。
案外、兄貴に過去を話す事になるの早かったな―…。
なんて思える俺はだいぶ過去と向き合えるようになったらしい。
もしかしたら"兄貴"だからかもしれない。
「兄貴―…俺の過去知りたい?」
だから兄貴には言えるよ?
ねぇ?聞いてくれる?兄貴。
「…―言っただろう?話せる時が来たら聞かせって。話すかどうかはお前が決めろ。それと、俺にはレンとしてじゃなく、蘭として話せよな?」
そうやって優しい笑顔を私に向けてくれる兄貴。
「…じゃあ、話すね―…。」